2010/06/20(日) 平成22年 第2回 大島能楽堂定期公演

2010/06/20(日) 平成22年 第2回 大島能楽堂定期公演番組ところ:喜多流大島能楽堂
開演:12:30
番組:能「源氏供養」 大島衣恵
   狂言「因幡堂」 茂山あきら
   能「国栖」 大島政允

能 「源氏供養」
石山寺に参詣した僧の前に女が現れ「わたしはここに籠もって源氏物語を書き上げたが、その後供養をしなかったため成仏できない」と、光源氏と自身の供養を頼みます。僧が紫式部の霊だと察すると、女は恥らって姿を消します。
その夜更け、女が紫の薄衣を着て再び現れます。僧が源氏五十四帖の題名を織り込んだ願文を読み上げると、その声に乗って淑やかに美しく舞います。
実は紫式部は、人々にこの世の無常を知らせるため仮に人間として生まれた、石山寺の観世音だったのです。
中世には源氏物語を「絵空事で人を惑わす罪深いもの」「優れた物語を通して信仰に導くもの」と見る両説があり、本曲もそれに基づきます。

狂言 「因幡堂」
大酒飲みの妻に嫌気がさした夫は、妻が実家に帰っているところに離縁状を送りつけ、因幡堂の薬師如来に新しい妻の祈願に出かけます。
お告げの場所で衣を被いた女を見つけ、大喜びで連れ帰って祝言の盃を交わしますが、新妻は顔を見せない上に、やはり大酒飲みで…。

能 「国 栖」
浄見原天皇(大海人皇子、後の天武帝)は、大友皇子との皇位継承争いで追われる身となり、吉野の山中に逃れて漁師の老夫婦にかくまわれます。
夫婦は鮎と芹でもてなし、帝の命運を占うために食べ残した鮎を岩瀬に放すと、再び泳ぎだしたのを見て勝利を請け合います。
そこへ追手が現れます。翁は伏せた舟の中に帝を隠し、とぼけたり脅したりして見事に追い払います。
夜になり、帝を慰めようと思案するところに妙なる音楽が聞こえ、天女が降りてきて舞い始めます。それに引かれて吉野の神々も来臨し、蔵王権現が豪快に飛び巡って帝の来るべき御代を祝福します。
劇的な面白さと伝説の神秘性をあわせ持った雄大な曲で、子方を実際に舟の作り物に隠すという、珍しい演出も見どころです。