2012/04/15(日) 平成24年 第1回 大島能楽堂定期公演

2012/04/15(日) 平成24年第1回大島能楽堂定期公演番組ところ:喜多流大島能楽堂
開演:12:30
番組:能「藤戸」 松井 彬
□□□狂言 「土筆」 茂山あきら
□□□能「楊貴妃」 大島衣恵


能「楊貴妃」
玄宗皇帝は、楊貴妃を喪った悲しみのあまり、方士に命じてその魂を探しに行かせます。神仙の住む蓬莱山に至り、方士は壮麗な宮殿の中で仙女となった楊貴妃を見つけます。
楊貴妃は恋慕の情をつのらせて涙に暮れます。「天に在らば願はくは比翼の鳥とならん、地に在らば願はくは連理の枝とならん」と、生前、永遠に共にいる事を誓い合って皇帝と交わした言葉を伝え、懐旧の思いを込めて舞を舞います。
形見の髪飾りを受け取って方士が去ると、楊貴妃は昔を恋い、別離の悲しみに泣き伏すのでした。
白楽天の詩「長恨歌」を主な素材として、絶ち難い男女の愛情を美しく描き、三番目物(女物)を代表する名曲のひとつです。

狂言「土筆」

男が友人を連れて春の野辺に遊びに行き、土筆を見て「土筆の首しをれてぐんなり」と歌を詠みます。友人がばかにするので、古歌にも「風さわぐんなり」という例があると反論しますが、「さわぐなり」の間違いだと笑われます。続いて芍薬の花を見て、友人が古歌を引くと、男はここぞと間違いを指摘します。嘲笑し合った末、怒った男は相撲を挑みます。

能「藤戸」
藤戸の合戦で功を立てた佐々木盛綱は、戦地の備前国児島を賜り、翌年領主として入国します。
その披露の場で、老女が息子を殺された恨みを訴えます。最初は否定する盛綱ですが、やがて自分の行いを告白します。
合戦前夜、盛綱は、誰よりも早く先陣を切るため、土地の漁師に馬で海を渡れる浅瀬を案内させます。そして、他の者に秘密を話さぬよう、その場で男を刺し殺して海に沈めたのでした。
激しく詰め寄る老女を家まで送らせると、盛綱は弔いの法要を開きます。すると漁師の亡霊が現れ、無残に殺された有様を再現して恨みを訴えますが、最後は供養により成仏を遂げます。「平家物語」を題材に、武勲の影で犠牲になった人々の思いを痛切に表現した傑作です。