ところ:喜多流大島能楽堂
開演:12:30
番組:能「半蔀」 大島衣恵
狂言「清水」 茂山あきら
能「鵜飼」 松井 彬
囃子方:笛 左鴻泰弘
小鼓 古阪一郎
大鼓 河村 大
太鼓 大川典良
能「半蔀」(はしとみ)
晩夏の黄昏時、紫野に住む僧が、夏籠りの修行の間に仏に献じた花々の供養をしています。そこに見知らぬ女性が現れ、夕顔の花を供えると、五条辺りの者とほのめかして姿を消します。
その夜、僧が五条辺りの廃屋を訪ねると、蔓草の絡まる半蔀戸の陰から、夕顔の上の霊が現れます。夕顔の花が仲立ちとなった、光源氏との出会いの思い出を語って懐旧の舞を舞うと、弔いを頼んで、夜明けを待たずに半蔀の内に消えていくのでした。
半蔀とは、格子の裏に板を張った雨戸のようなもので、上半分を押し上げて開きます。『源氏物語』夕顔の巻に取材し、シテは夕顔の花の精とも見えるほど、あくまでも儚く美しく描かれています。夕顔の実のなる蔓を絡めた、半蔀屋の作り物も風情があり、可憐な曲です。
狂言「清水」(しみず)
茶の湯で使う水を、野中の清水で汲んで来いと命じられた太郎冠者。今後も命じられては嫌なので、清水で鬼に襲われたと嘘をつきます。すると主人は、冠者の置いてきた秘蔵の手桶を、自分で取りに行くと言い出します。冠者は先回りして、鬼の面をかぶって脅します。主人は慌てて逃げますが、鬼の声や言動を不審に思い、引き返して正体を暴こうとします。
能「鵜飼」(うかい)
旅の僧たちが、甲斐国石和の里で、怪異の出るという廃堂に宿ります。夜半、鵜飼の老人が堂に入って来ます。僧が殺生をすることをとがめると、老人は、生業なのでやめられないと答えます。従僧は、以前この近くでよく似た鵜飼に宿を借りたことを思い出します。老人は、その者が、殺生禁断の場所で漁をした罪で水に沈めて殺され、今も亡魂がさまよい苦しんでいると語ります。そして、実は自身のことだと明かし、弔いを願って鵜飼のわざを見せると、闇に姿を消します。
僧は、「河原の石に法華経を書いて供養をします。すると閻魔王が現れ、鵜飼の霊が、僧に宿を貸した功徳と法華経の力により成仏したと告げます。
鵜飼の漁の有様を演じる、変化に富んだ〈鵜の段〉、閻魔王の豪壮さと、見所の多い曲です。