2018/11/18(日) 平成30年 第4回 大島能楽堂定期公演

2018/11/18(日) 平成30年 第4回 大島能楽堂定期公演番組2018/11/18(日) 平成30年 第4回 大島能楽堂定期公演パンフところ:喜多流大島能楽堂
開演:12:30
番組:能「花筐」 大島衣恵 ワキ 福王和幸
   狂言「飛越」 茂山千三郎
   能「天鼓 バンシキ」 大島政允 ワキ 福王和幸
囃子方:笛 左鴻泰弘
    小鼓 久田舜一郎
    大鼓 白坂信行
    太鼓 小寺真佐人

能「花筐」(はながたみ)
越前国に住む男大迹皇子は、思いがけず帝位を継ぐことになり、寵愛する照日の前を残して都に旅立ちます。使者から皇子の手紙と愛用の花篭を受け取った照日の前は、形見を抱いて里に帰ります。
皇子は継体天皇となり、紅葉狩の御幸をします。恋慕のあまり物狂いとなった照日の前は、花篭を持って都へ向かい、御幸に行き会います。官人に花篭を打ち落とされると、皇子の物を粗末にしたことを責め、恋焦がれて泣き伏します。帝の命を受けて狂い舞い、漢の武帝が李夫人の死後、霊魂を呼び返してひと時姿を見、かえって嘆きに沈んだという故事に思いを重ねます。
帝は、花篭を召して自分の物と認め、再び側に仕えるよう命じます。照日の前は心晴れ、共に宮中に帰るのでした。
狂女物の中でも、特に幽艶で気品ある名曲です。

狂言「飛越」(とびこえ)
茶の湯に招かれた男が、僧を誘って行く道中、小川に差し掛かります。僧が飛ぶのを怖がるので、男が手を繋いで飛び越すと、僧だけ川に落ちてしまいます。大笑いされて怒った僧は、男が門前の相撲で負けたことを持ち出します。

能「天鼓」(てんこ)
後漢の時代、王伯と王母夫婦が、天から鼓が降りて胎内に宿る夢を見て子を授かり、天鼓と名付けます。その後、天から鼓が降りて、天鼓が打つと妙なる音を立てます。噂を聞いた皇帝が鼓を召すと、天鼓は惜しんで山中に隠れますが、探し出され漏水という川に沈められます。
鼓は宮中に置かれますが、鳴らないので王伯が召し出されます。悲しみに沈む父親は、自分も罰せられる覚悟で参上し、皷を打つと、澄んだ音が響きます。感動した皇帝は、父母に宝を授け、漏水のほとりに御幸して、管弦を奏でて法事を行ないます。
すると、弔いを喜び、天鼓の亡霊が現れます。遺愛の皷を打ち、澄み切った秋の夜空の下で舞い遊ぶと、夜明けとともにきえるのでした。
親子の愛情を哀切に描く前場と、芸術の喜びに満ちた後場の対比も見事な、心を打つ傑作です。