2018/04/15(日) 平成30年 第1回 大島能楽堂定期公演

第1回 大島能楽堂定期公演番組

第1回 大島能楽堂定期公演チラシところ:喜多流大島能楽堂
開演:12:30
番組:能「雲林院」 大島政允 ワキ 江崎欽次郎
   狂言「歌争」 野村又三郎
   能「鞍馬天狗 白頭」 大島輝久 ワキ 福王知登
     囃子方:笛 竹市 学
         小鼓 飯田清一
         大鼓 亀井広忠
         太鼓 大川典良

能「雲林院」(うんりんいん)
津の国芦屋の里の公光は、幼い頃から「伊勢物語」を愛読してきました。ある春、不思議な夢に導かれ、紫野の雲林院を訪れます。満開の桜に引かれて枝を折ろうとすると、老人が現れて制止し、詩歌を引いて風流な問答を交わします。公光から夢の話を聞いた老人は、「『伊勢物語』の秘事を伝授するというお告げだろう」と教えます。ここで寝て夢を待つよう勧めて、自分は在原業平の霊だとほのめかし、姿を消します。
その夜、業平の霊が、優美な貴公子の姿を現します。恋人の二條の后を宮中から連れ出した夜の事を語り、昔を思い返して舞うと、夜明けとともに、公光の夢も覚めるのでした。
中世には、「伊勢物語」の内容を史実ととらえて様々な解釈が生まれ、秘事・口伝として伝授されました。それを舞台化した曲で、王朝時代の気品漂う、艶麗な作品です。

能「鞍馬天狗」(くらまてんぐ)
鞍馬山は桜の花盛りです。鞍馬寺の僧が大勢の稚児を連れて花見をしていると、山伏が来て、無遠慮に座に加わります。一行は興をそがれて帰ってしまいますが、一人の稚児が残ります。少年は、平家に敗れた源氏の一族、沙那王(牛若丸。後の源義経)でした。二人は共に花を愛でます。山伏は実は僧正ヶ谷の大天狗で、兵法を授けることを約束して姿を消します。
沙那王が長刀を持ち凛々しい姿で待っていると、大天狗が諸国の眷族を引き連れ悠然と現れます。数々の兵法を授け、行く末の武運を守ることを約束すると、名残を惜しんで虚空に飛び去るのでした。
能の天狗は滑稽味のある悪役が多いのですが、この曲では豪放で威厳に満ちています。子方が大勢登場するのも楽しく、見所の多い人気曲です。

狂言「歌争」(うたあらそい)
ある男が、花盛りの春の野辺に野遊びに出掛けるべく、友人を誘いに立ち寄ります。庭に咲いた芍薬の花や、野辺に生えた土筆を見て古歌や和歌をひけらかして口ずさみますが、どれも友人に間違いを指摘されてしまい‥