ところ:喜多流大島能楽堂
開演:12:30
番組:舞囃子「忠度」 大島衣恵
狂言「文荷」 茂山あきら
お話 落 健一
能「草紙洗小町」 大島政允
舞囃子「忠度」(ただのり)
舞囃子とは、一曲の見所の部分を、面・装束を付けず囃子と謡によって舞う上演形式です。
藤原俊成にゆかりの旅の僧が、摂津国須磨の浦に来て、一本の桜の木陰に宿ります。それは、この地で戦死した平忠度の供養のために植えられた桜でした。
その夜、忠度の亡霊が現れます。俊成に託した自分の歌が、千載集に撰ばれたものの、朝敵ゆえ「読み人知らず」とされた心残りを訴えます。岡部六弥太と戦った潔い最期のこと、遺骸に「行き暮れて木の下蔭を宿とせば花や今宵の主ならまし」という和歌を書きつけた短冊があったことを語り、弔いを頼んで桜のもとに消えます。
狂言「文荷」(ふみにない)
主人から、少年宛ての恋文を届けるよう命じられた太郎冠者と次郎冠者。文を持つ役を押し付け合い、竹竿に付けて二人で担ぐことにします。『恋の重荷』を謡いながら運びますが、あまり重いので、中を見ようと文を開きます。読むうちに面白くなり、引っ張り合った拍子に文が裂けます。逃げることに決め、小歌交じりに文をあおいでいると、主人が現れて…。
能「草紙洗小町」(そうしあらいこまち)
内裏の歌合せで、小野小町と大伴黒主の和歌が競われることになります。黒主は実力では勝てないと思い、前日に小町の私宅に行き、歌合せのための和歌を吟じるのを盗み聞きして『万葉集」の草紙に書き入れます。
翌日、帝の御前に紀貫之などの歌人が大勢集い、歌合せが始まります。最初に小町の和歌が詠み上げられると、黒主が割って入り「その歌は万葉集の古歌だ」と主張します。小町は抗議しますが、草紙を証拠に出され、嘆き悲しみます。
草紙を見た小町は、行間などが不自然なととに気づき、洗ってみたいと申し出ます。盥(たらい)が用意され、小町が皆の前で草紙を濯ぐと、証拠の和歌だけがきれいに洗い流されます。黒主は恥じて自害しようとしますが、小町が止め、御代を祝い、和歌を讃えて舞います。
劇的で分かりゃすい筋運びで、登場人物も多く、宮廷絵巻のように華やかな曲です。