2015/09/20(日) 平成27年 第3回 大島能楽堂定期公演

2015-teiki-3ところ:喜多流大島能楽堂
開演:12:30
番組:能「東岸居士」 金子匡一
   狂言「お茶の水」 茂山 茂
   能「紅葉狩」 大島輝久

能 東岸居士(とうがんこじ)
東国から来た旅人が、清水寺に参詣し、門前の男に何か面白いものはないかと尋ねます。男は「東岸居士という喝食(雑芸を演じる有髪の僧)が、橋の勧進で面白いことをする」と教え、居士を呼びます。
呼び出された居士は、巧みな話術で質問に答え、仏の教えを説き、歌い舞います。さらに羯鼓を打ち鳴らして舞うと、音楽もまた菩薩の御法だと言って、悟りの道に入ることを勧めます。居士の説法には、時宗の『一遍上人語録』からの引用が見られます。当時の仏教の民衆教化の様を能にした曲で、中之舞、曲舞、羯鼓と、次々と続く芸尽くしが見どころです。

狂言 お茶の水(おちゃのみず)
住持が新発意(中の若い僧)に、明日の客にお茶を出すため、野中の清水に水を汲みに行くよう言いつけます。新発意は断り、門前の娘いちゃに行かせるよう言い張ります。
いちゃが小歌を歌いながら水を汲んでいると、新発意が来て、小歌で恋心を伝えます。二人が楽しく歌を掛け合っていると、帰りが遅いのを心配して来た住持に見つかってしまいます。

能 紅葉狩(もみじがリ)
信濃国戸隠山に鹿狩に来た平維茂は、謎めいた美女たちの紅葉狩りの酒宴に行き合います。宴に誘われ、最初は断りますが、誘惑に負けて宴席に着きます。女の酌を受け、優雅に舞うのを見ているうち、心を許した維茂は酔って眠り込んでしまいます。すると突然女の様子が凄まじいものに変わり、夜嵐が吹き荒れます。女は「夢から覚めるな」と維茂に告げ、山中に姿を消します。
その時、維茂の夢に、男山八幡から遣わされた末社の神が現れ、女の正体は鬼だと教えて、太刀を授けます。驚いて目を覚ますと、鬼女が正休を現して襲い掛かりますが、維茂は勇猛に戦って、たちまち鬼神を退治します。前段の華やかで妖艶な宴から、美女が鬼の正体を現す急展開、後段の鬼退治と、緩急の変化に富んだ面白い曲です。