2014/06/15(日) 平成26年 第2回 大島能楽堂定期公演

2014-teiki-2ところ:喜多流大島能楽堂
開演:12:30
番組:能「鬼界島」 金子匡一
   狂言「延命袋」 茂山あきら
   能「杜若」 大島衣恵

能「鬼界島」(きかいがしま)
俊寛僧都、平判官康頼、丹波少将成経の三人は、平家討伐の陰謀が露見し、九州薩摩沖の孤島鬼界島に流罪の日々を送っています。ある日、三人が酒に見立てた水を酌み交わし、昔を偲び今の境遇を嘆いていると、都から、中宮徳子の安産祈願のための大赦の赦免使がやってきます。しかし、赦免状には成経と康頼の名しかありません。俊寛は書き間違いかと疑い、何度も書状を読み返し半狂乱になって嘆きます。
独り島に残されることになった俊寛は、都に帰る舟にすがりつき、乗せてくれるよう懇願しますが振り捨てられます。そして、成経達の、都で彼の赦免を請うとの約束を微かな頼みにして、沖に消えてゆく舟影を見送るのでした。
極限状況に置かれた人間の心理や行動を描き、能としては異色の作です。面にも、個性の強い役柄に合わせ、〈俊寛〉という専用面を用います。

狂言「延命袋」(えんめいぶくろ)
口うるさい女房に嫌気がさした夫が、太郎冠者をやって里帰り中の妻に離縁状を届けます。怒った妻は「自分で返事をする」と冠者に告げ、帰宅すると「暇のしるしが欲しい」と頼みます。「何でも持っていけ」と言う夫に妻は持参した大きな袋を取り出すと…

能「杜若」(かきつばた)
都から東国へ向う旅の僧が、三河の国八橋で、沢辺に咲く杜若に見とれていると、里の女に声を掛けられます。女は、ここの杜若こそ『伊勢物語』で在原業平が歌に詠んだ花だと教え、自分の庵に泊まるよう僧を招きます。
庵に着くと、女は美しい唐衣と冠を身に着けてみせます。僧が不思議がると、それらが高子の后(業平が杜若の歌で偲んだ恋人)と業平の形見の品だと教え、自分は杜若の精だと明かします。そして、業平は歌舞の菩薩の化身なので、その歌の恵みで草木も成仏できるのだと言って、業平の物語を様々に語り舞うと、夜明けとともに悟りを得て消えていきます。
シテは杜若の精ですが、業平とも高子とも菩薩とも見ることができ、『伊勢物語』のイメージが幾重にも織り込まれた幻想的な作品です。