ところ:喜多流大島能楽堂
開演:12:30
番組:お話 内田 樹
狂言「二九十八」 茂山あきら
能「三輪神遊」 大島政允
狂言「ニ九十八」(にくじゅうはち)
独り者の男が、妻が欲しいと清水の観音に祈願し、寺の西門で待つようお告げを受けます。さっそく出かけると、衣を被って顔を隠した女が立っています。妻になる人か確かめ、住いを尋ねると、女は謎めいた歌を詠み「にく」と言って去ります。どうにか謎を解いて家を見つけ、婚礼の盃を交わしてめでたく祝言を挙げ、さていよいよ衣を取り、顔を覗き込むと。
能「三輪」(みわ)
大和国三輪の山中に住む玄賓僧都の庵へ、毎日参拝に来る女がいます。女は僧都に秋の夜寒をしのぐ衣を乞い、住いを尋ねられると「わが庵は三輪の山本恋しくは訪い来ませ杉立てる門」と古歌を詠じてかき消えます。
三輪明神の社で、僧都は神木の杉に掛かる衣と、その裾に書かれた和歌を見つけます。そのとき杉の陰から美しい声が聞こえ、巫女姿の三輪明神が現れて、罪を助けてくれるよう頼みます。そして三輪の神婚説話を語り、天岩戸隠れの神話を再現して神楽を舞いますが、夜明けと共に僧都の夢も覚めるのでした。中世の信仰では、神は衆生を救うため、人と同様に感情を持ち罪や苦しみを負うと考えられていました。神々しさと恋物語の情趣を併せ持つ、気品高く趣深い人気曲です。