ところ:喜多流大島能楽堂
開演:12:30
番組:能「百万」 大島政允
□□□狂言 「雁礫」 茂山千五郎
□□□能「葵上」 大島衣恵
能「百万」
春の盛りのころ、都の僧が、奈良で拾った子どもを連れて清涼寺の大念仏に行き、念仏の音頭を取る物狂いの女に出会います。女は面白く踊り、我が子に再会できるよう祈ります。
それを見た子どもは、母親だと気づいて僧にそれとなく確かめるよう頼みます。僧の質問に女は夫と死に別れた後、子ともはぐれたこと、子を探し求めてはるばる旅をしたことを語り、次第に心を昂ぶらせて狂乱状態となり、仏に手を合わせて泣き崩れます。
僧が子を引き合わせると、女は再会を喜び、共に故郷の奈良へと帰っていきます。
〈念仏之段〉〈車之段〉〈笹之段〉など、一曲を通して舞と謡いの見せ場が続く、狂女物の代表曲です。
狂言「雁礫」
大名が雁を弓矢でねらっていると、通り掛かりの男が、石を投げつけて仕留めてしまいます。落ちた雁を拾って立ち去ろうとすると、大名は「自分がねらい殺した雁だから置いていけ」と弓矢で脅します。
驚いた男が助けを呼ぶと、仲裁人が現れ、雁をもとのところに置いて、大名に射させてみることになりますが…
能「葵上」
光源氏の正妻葵上は、しつこい物の怪に憑かれて病に苦しんでいます。物の怪の正体を確かめることになり、巫女が祈ると、壊れた牛車に乗った貴女が現れます。それは、源氏の恋人六条御息所の生霊でした。生霊は、誇りを傷つけられた悲しみや恋の恨みを語りますが、やがて怒りと嫉妬の感情が噴き出し、床に臥す葵上を杖で打ち据えます。
ただならぬ事態に、高名な修行者横川の小聖が呼ばれます。聖が祈祷をすると、御息所は鬼女の姿をさらして威嚇しますが、やがて経文の力で心が鎮められ、姿を消します。
劇的な展開の中に激しい感情が込められ、能の中でも特に人気の曲です。装束の使い方も見所の一つです。