ところ:喜多流大島能楽堂
開演:12:30
番組:能「隅田川」 大島政允
狂言「鐘の音」 茂山七五三
能「隅田川」
武蔵国隅田川の渡し場で、物狂いの女が乗船を乞います。女は人商人にさらわれた息子を探して、都から旅してきたのでした。渡し守と『伊勢物語』を踏まえた問答を交わして舟に乗ると、対岸から念仏の声が聞こえます。説明を聞くうち、女はそれが、ちょうど一年前にここで亡くなった我が子梅若丸の供養であることを悟ります。
母親は嘆き悲しみますが、墓所に案内されて大念仏に参加します。夜更け、塚の中から念仏に混じって幼い声が聞こえ、梅若丸の霊が現れます。親子は互いに駆け寄りますが触れ合うことはできず、夜明けとともに幻は消え、草の伸びた塚ばかりが残されるのでした。
母親の悲しみを描き切った、能の中でも屈指の名曲です。
狂言「鐘の音」
主人から鎌倉へ行って金の値(ね)を聞いてくるよう命じられた太郎冠者。「鐘の音」だと勘違いして、寺々の鐘を聴いて回り、その特徴を得意になって報告します。怒った主人は冠者を追い出してしまいますが、仲裁人のとりなしで鐘の音を聴き回る様子を演じることになり、冠者は主人の機嫌を直そうと謡い舞います。